1.症状
吃音は話し言葉が滑らかに出ない発話障害です。
吃音の特徴的な症状は以下の3つです。
- 音の繰り返し(連発)例:「こここ...こんにちは」
- 引き伸ばし(伸発)例:「こーーーんにちは」
- 最初の言葉がなかなか出にくい(難発)例:「・・・(数秒間)・・・こんにちは」
吃音では上記の症状以外に、二次的な症状として随伴症状(随伴運動)を起こす場合もあります。これは発話の際に、何とか声を出そうとして手足を振り下ろしたり、顔をしかめたりなど不必要な身体運動を行うものです。
吃音は状況によって症状が出やすかったり出にくかったりすることがあります。また、調子が良い状態、または悪い状態が数週間から数か月にわたって続く人も多く、このような症状の変動を(調子の)「波」と呼びます。
2.分類と原因
吃音は低年齢から発症する発達性吃音(小児期発症流暢症)と、それ以外の獲得性吃音に分けられます。吃音の9割以上は発達性吃音です。
発達性吃音の原因としては、2000年以降の双子研究、遺伝子研究などから、環境要因よりも本人の生まれ持った体質的な要因が原因の多くを占めることが分かっています。
一方、獲得性吃音は
- 脳の外傷や脳卒中など、脳に損傷を受けたことによって起きる「神経原性吃音」
- 心的なストレスや外傷体験など、心理的原因によって生じる「心因性吃音」
があり、どちらも発症時期は青年以降(10代後半~)です。
3.発達性吃音の発症時期
2~4歳で主に始まり、ほとんどが幼児期に発症します。約60%が3歳までに、約95%が4歳までに発症しています。
海外の研究では、吃音と診断された子供のうち、男児は3年で約6割、女児は3年で約8割が自然回復したとの報告があります。
(参考文献)
1)菊地良和、福井恵子、長谷川愛著『保護者からの質問に自信をもって答える!吃音Q&A』日本医事新報社,2021,p196.
2)”吃音について”.国立障害者リハビリテーションセンター研究所.2012-10-27,http://www.rehab.go.jp/ri/kankaku/kition/
3)”吃音について”.日本吃音・流暢性障害学会.2023-10-01,https://www.jssfd.org/kaisetsu.html